家で髪の色を染めるカラー剤、いわゆるホームカラーと呼ばれるもの。
ドラッグストアに行けば壁一面と言っていいぐらいの種類が売られています。
そこそこ安価で、家で出来るので利便性も高い。
美容師という立場からするとおすすめ出来ません。
まず気になるのがダメージ。
美容師のカラーは発色やダメージなど考慮して、髪の毛の部位によって薬剤を塗り分けていきます。
ところがホームカラーはサッと塗ってそこそこ染まらないと売れないので、薬剤レベルはかなり強め。
ダメージのある部分に塗ってしまえば一撃でやられてしまうでしょう。
その次は色ムラ。
どうしても自分で塗ると均一には濡れない。
後頭部など見えないところは難易度が激しく高め。
色ムラになてしまった髪色を修正しようとなると、時間とお金が相応にかかります。
そして極め付けがアルカリや過酸化水素などの残留物質。
これらの残留物質はダメージを蓄積させるだけでなく、髪の老化を促してしまう厄介な代物。
黒髪の白髪化を早めたり、髪の毛のハリやコシがなくなり髪の毛が薄くしてしまう。
美容師という職業柄、様々なお悩みを相談されます。
やはりこういったお悩みをお持ちの方はホームカラーや、安価なヘアカラー専門店を利用している人が圧倒的に多い。
極論で言うとヘアダメージや色ムラは多少何とかなります。
傷んだところは切ってしまえばいいし、色ムラも暗めに染め直せば気になりにくくなる。
しかし髪の老化は改善するのが非常に難しい。
白髪化した髪を黒髪に戻したり、ハリコシが失われて薄くなった髪を元気にするのも、今の毛髪科学では何ともしようがないのが現状なのです。
この残留物質をいかに中和して少なくするか。
これがヘアカラーで最も大事な点だと考えています。